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鬼柳 亮嗣
no journal, ,
平成23年度日本結晶学会年会で催されるシンポジウム「中性子構造解析の結晶化学への活用に向けて」において、中性子を用いた構造解析でどのようなことができるかについて講演を行う。まず、中性子とX線の原子との相互作用の違いを利用した物質中の局所的な分極の測定に関して紹介する。具体的には、中性子とX線回折それぞれから得られる原子核分布及び電子分布の比較により、局所的な分極の存在が明らかとなった水素結合型誘電体の研究を紹介する。また、中性子が磁気モーメントを持つという性質を利用した磁気散乱測定に関しても説明を行う。磁気散乱測定で得られる磁気反射を用いることで、磁性体中の磁気モーメントの並びを決定することが可能であり、例として磁気構造解析で得られた複雑な磁気構造と物性が密接にかかわっているマンガン酸化物の研究を紹介する。また、磁場や偏極中性子を用いることにより可能となる、常磁性体中やラジカルな原子中の不対電子の観測(軌道の観測)についても紹介する。最後に、現在J-PARCで建設が進められている中性子単結晶装置のスペック等の説明を行う。
玉田 太郎; 栗原 和男; 山田 貢; 大原 高志; 黒木 良太
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原子力機構では研究用原子炉(JRR-3)に設置した2台の生体高分子用中性子単結晶回折装置(BIX-3,4)を用いたタンパク質を主とした生体高分子の水素・水和構造決定、及びこれらの装置の高度化に取り組んでいる。これまでにPDBに登録された生体高分子の中性子構造48例のうち16例がこれら2台の装置を用いて解析されたものであるが、さらなる解析数の向上及び回折データの高分解能化を目的として、22年度に窒素吹付け低温装置を導入した。23年度は本装置を用いて、実際に大型結晶からのクライオ温度における回折実験を実施した。数種の大型結晶において、クライオ温度まで安定に移行する不凍条件を見いだすことに成功し、引き続き中性子回折実験を行った。薬剤耐性大腸菌から検出された基質特異性拡張型-ラクタマーゼToho-1の大型結晶から、従来の常温での実験結果に基づいた格子状数と結晶体積から予想される分解能を上回る1.5分解能の回折データ収集に成功した。さらに、同一結晶から同じく低温下でX線回折データを収集し、両データを相補的に用いた構造精密化を終了した。1.5分解能における本解析結果はPDBに登録されたタンパク質中性子構造の中での最高分解能に並ぶ解析例である。今後は、クライオ温度で収集した回折データを用いた高分解能中性子構造解析例を増やし、同一条件で取得したX線の超高分解能データとの詳細な比較から、タンパク質のかかわるさまざまな生命反応をより深く理解したいと考えている。
岡崎 伸生; 安達 基泰; 大原 高志; 玉田 太郎; 栗原 和男; 大賀 拓史*; 神谷 信夫*; 倉光 成紀*; 黒木 良太
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ADPリボースピロリン酸分解酵素(ADPRase)はNudixファミリーに属し、2価金属イオンの存在下でADPリボース(ADPR)をAMP及びリン酸化リボースに分解する。これにより細胞内に有毒な二リン酸化ヌクレオシド誘導体の蓄積を防ぐ。ADPRaseはADPRに対する高い選択性を持つADPRase-Iと低い選択性のIIに分類され、好熱菌 HB8由来のADPRase-I及び-IIの結晶構造が明らかにされている。報告されているADPRase-IのX線結晶構造において、活性に関与する残基(Glu)のカルボキシル基のプロトン化の状態は明らかではなかった。われわれは上記を含む水素原子の状態を明らかにするため、pD 5.3の環境で HB8由来ADPRase-Iの2.52.51.5mmの大型結晶を作成、2.1分解能の中性子回折データ及び1.5のX線回折データを取得し、joint-refinementにより1122個の水素原子及び479個の重水素原子,112個の水分子を含む立体構造を明らかにした。